その1
ブリーフ一枚でベッドに座っていたジェフは、おもむろに立ちあがった。
年は十八歳、身長百八十五センチ、体重七十八キロ、筋肉質の引き締まった体付きで、ブリーフの前は大きく膨らんでいる。
金髪を坊主刈りにし、瞳は青い。
ジェフは、ブリーフを脱ぎ捨てた。
極太のサラミソーセージを思わせるペニスは露茎し、亀頭はピンク色だ。
二つの睾丸の入った袋は、だらりと垂れていて、中身は鶏卵ほどある。
その付け根には、金色の恥毛が生えている。
まずはそのままバスルームに向かい、便座を上げっぱなしの便器に放尿した。
そして、シャワーを浴び始める。
そうしながらジェフは、これから会いに行く彼女の豊かな乳房や、ペニスを締め上げる膣壁の感触を思い出しながら、男性器を捏ね回した。
ペニスはたちまち膨張して、ジェフの下腹部を打ち据える。
可愛い奴だ、と思いながら、ついでにオナニーをした。
暖かい湯の飛沫が掛かる亀頭の先端に開いた尿道を、指で押し広げて洗いながら扱き上げると、若さではち切れんばかりに勃起したペニスが脈打ち、その先端から、びゅく、びゅく、と、濃厚な精液が放たれ、快感が体を突っ走る。
そのたんびに、会陰と体内の精嚢が収縮する。
睾丸がきゅっと挙がり、輸精管が引き吊る。
男にしか味わえない快感を、ジェフはむさぼった。
シャワーを浴び終わると、全裸のままで部屋をうろつく。
ペニスと睾丸がぶらぶらと邪魔そうに揺れて太股に当たるが、成熟した男の証であるこの感触を味あわんが為に、わざと全裸でいることが多いくらいだった。
クローゼットから、今日着る服を選んで身に纏う。
今日は一週間ぶりの彼女とのデートだ。
自宅を後にし、待ち合わせ場所に向かいながらジェフは思う。
今日は何発やれるだろうか、と。
だが、ジェフは、今日一度も彼女を抱くことはない。
それどころか会うことさえも。
さっきのオナニーが、自分にとっての最後の射精であることも、もう二度と自宅に戻れないことも、さっき部屋でやったこと全てが一生できなくなることも。
自分の股間にあって当然だと思っているものが、後一時間しか自分の体に付いていないのだということも、もう既に、それぞれ別の場所で、八歳と十二歳の少年が股間の物を失っていることも、何もかも知る由もなかった。
道を歩くジェフの横に、一台の乗用車が近づいてきた。
その2
(こいつら一体、俺に何をするつもりだ!?)
いきなり車で拉致されたジェフは、全裸の大股びらきでベッドに括り付けられていた。
どうやら、船の中らしいが、どの港を出てどこを走っているかは判らない。
恥毛は全てが剃り落とされ、両腕もがっちり固定されている。
身動き一つとれなかった。
部屋の中には、男が二人いる。
一人は、ビデオカメラを回し、もう一人が、ジェフのペニスと睾丸を、左手で鷲掴みにした。
「痛てぇっ!!」
ジェフは喚く。二人とも英語が判らないようだった。
男は、ジェフの睾丸が二つとも手の内にあることを確かめると、それを潰さんばかりの力で握り締めながら、ペニスもろとも目一杯に引っ張った。
痛みに悶えるジェフの目に、男の右手に光るアーミーナイフが映る。
こいつら、俺のコックを…斬る気だ!!
「やめろぉーっ!コックは、コックは斬るなぁーっ!!」
ジェフは声を限りに喚いた。
だが、その付け根の皮膚を、ナイフがぱつん、と切った。
ジェフは、去勢の恐怖と激痛と屈辱に吠え散らす。
その頬を、大粒の涙が伝う。
ナイフは、刃の重みだけで、海面体をどんどん斬り進む。
ついに、尿道が断ち斬られ、ペニスは切断された。
切断面から流れた血は、膿盆で受けられている。
「コックが、俺のコックがぁっ!!」
刃の切っ先は、陰嚢の皮を斬り始める。
「やめろぉっ!タマは、タマだけはやめてくれぇっ!!」
これを斬り落とされると、自分は本当に男ではなくなってしまう。
だが、下腹部から、ばつ、ばつん、という感覚が伝わってきた。
輸精管が断ち斬られたと、すぐに判った。
そして、皮一枚で体につながっていた陰嚢が、切断された。
斯くして、大きく成熟していたジェフ自慢のペニスと睾丸は、あっさりと斬り落とされた。
刃を当ててから、4秒足らずだった。
「あぁーっ!ああっ!あっ!あっ!あっ!」
斬り口の処置をされながら、ジェフは、十八年大切に育んできて、付いていて当たり前だと思っていた物を、たったの4秒で奪われた屈辱に泣き、狂った様に吠え散らしていた。
股間の激痛が、これは現実だと、ジェフを容赦なく打ちのめす。
もう、おまえは男ではないのだ、そして、もう二度と男に戻れないのだ、と。
処置を終えたジェフは、手術室へと運ばれる。
これから体内の海綿体や、精嚢、前立腺といった組織を切除し、尿道を会陰に移し、ペニスと睾丸があった部位を縫合する。
目が覚めたとき、ジェフは、男性としての全ての機能を失っているのだ。
その3
(ちきしょお、ちきしょお!!)
去勢されて十五日経った。
今日、ジェフはまたもや屈辱的な仕打ちを受けた。
ペニスが付いていた部位に、太い針で穴を開けられ、二度と外れないピアスを付けられた。
その際、恥毛が生えてこなくなる処置も施された。
両方とも苦痛と恥辱を伴う仕打ちだった。
ジェフは、不具者にされてから、必要最低限の水分しか摂らなくなった。
小便の度に、ズボンを下ろして尻を丸出しにしなければならないのも、体の前からペニスを通って出ていた尿が、足の間から直接吹き出すのも、小便が終わるとその後を紙で拭わないといけないのも、何もかもが嫌だからだ。
あれから、ずっとどこを走っているかは判らない船の船室にいる。
健康状態も栄養も保たれ、自殺を防ぐ意味で、ずっと監視されている。
時々、失った筈のペニスが天を向いて勃起するのが一番辛い。
当然、股間はぺしゃんこだし、触っても何もない。
性感さえもない。
なのに、勃起感があると、いつもの癖でつい触ってしまう。
そのたびに、ジェフは屈辱に泣く。
何故、自分がこんな仕打ちを受けなければならないのか、何故去勢されなければならなかったのか、と。
(俺のコックとキンタマはどうなっちまったんだろうか…)
斬り落とされたあと、どこかへ持って行かれた事は判ってるんだが…
とっくに捨てられちまったんだろうか。
ジェフが、別の船に移されたのは、その翌日だった。
押し込まれた船室の中には、八歳から十六歳くらいまでの少年達がいる。
その数十四人。
最年長であるジェフを加えると十五人だ。
そのうち、自分を含めた十人が白人で、残り五人が東洋人だった。
彼らの目を見たジェフは、はっと気付いた。
彼らの目には、輝きがない、と。
そう、自分同様に。
まさか、と思った。
年長の少年達のズボンの前がだぶついている。
これも、自分と同じだ。
ジェフは、最年少の少年に近寄ると、その股間を撫でてみた。
「きゃあああぁー!」
悲鳴を上げて泣きだしたちびの股間には、自分同様、何もないし、彼が去勢された時の事を思い出したということも、すぐに判った。
こいつら全員、去勢されてるんだ!!俺同様に!!
一体、、誰が、何の為にこんな事を!?
ジェフには判らなかった。
自分達が、悪趣味な金持ち達の愛玩物にされるためだけに去勢されたという事は、オークションの幕が開けるまで誰一人として知る由もなかった。
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投稿:2007.12.04更新:2007.12.14
ジェフの場合(大尽道楽外伝)
著者 真ん中 様 / アクセス 20285 / ♥ 13