■エリートモテ校
「あの学校を出た男は、女性の間で一番人気なんだぞ」
あらゆる方面の雑誌、新聞に有名な「エリートモテ校」として取り上げられる私立女園学園男子養成科。
有名な私立女園大学の付属校として数年前に開校したばかりだ。
僕は両親の期待に応え、この学園へと進学した。
基本的には普通の学園と同じカリキュラムで授業が進められるが、男子養成科だけの特別授業がある。
特別授業で受けた内容は完全極秘で、もし外部に漏らした場合には超高額の賠償金を請求される契約になっている。
入学時には全裸の写真を撮られ、精子の量やキンタマとチンポの大きさまで測定された。普通の学校であれば大問題になっているだろう。
担任の金髪美人なジェーン先生が教室に入ると、いつも通りお約束の質問をしてそれに僕たちが答える。
「君たち男の子は、何の為に存在するのかしら?」
「ハイ! 僕達は女性の幸せの為だけに存在します」
「はい、よくできました。着席」
そう、この学園は女性の幸せの為だけの存在として男を教育する場所なのだ。
容姿・知力・体力だけでなく、日常的に女性をエスコートする方法や、女性の望むあらゆる人生プランに合わせたパートナーシップを叩きこまれる。
男らしくするも隷属するも、あるいは愛玩動物になるのも全てはパートナーとして選んだ女性が決める事。僕たち男に人生の決定権は無い。
資産家の夫としてあらゆる経済的な運用をするための教育。
大黒柱として馬車馬のように働かされる為の訓練。
専業主夫として徹底的に家事・育児をする訓練。
奴隷、愛玩動物のように飼われる訓練。
恐ろしい事に、生きた置物として部屋に飾られる心得というものまであった。
男には個人の趣味などという生きがいは与えず、パートナーの女性の笑顔を見ることだけを趣味、生きがいににしなさいと叩きこまれる。
この学園の実態は女性による、女性の為の理想の男子養成所だ……正直、僕の男としてのプライドはズタズタになった。
入学してからずっと我慢して頑張ったけれど、ルームメイトのユウジの前では愚痴が出てしまう。
「ユウジ、僕はもう心が壊れそうだよ」
「何言ってるんだよヒロシ、オマエ何も情報なしでここに来てたのか?」
「そんな情報、どこにあったんだよ」
「バカだなぁ、ここに入らなきゃよかったのに。情弱だと社会で生きていけないぞ?」
僕はそのような情報は全く知らずに、この進学コースを選んだのだった。
もちろん完全極秘なので両親に相談することも出来ない。
「オマエ、ここの卒業生は確実に女性と付き合えるって知らないのか?」
「知らないよそんなの、100%なんてありえないし……」
「この学園って理想の男を求める素敵なお姉さま方の出資で成り立ってるからな。入学出来た時点で望みアリなんだぜ?」
「そんなのペットじゃないか。ユウジは男のプライドが無いのか?」
「なんだよそれ、男のプライドでモテるのなんて芸能人とか超エリートのごく一部だけだぞ?」
ユウジは男のプライドで意地を張って一生童貞で過ごすよりも、ここで女性に尽くす勉強をして気に入られる方がマシだと言う。
「こっちの意思が通らないなんて、ただの奴隷じゃないか……」
「ヒロシは真面目だなぁ、そんなんじゃモテないぞ?」
「別に僕はモテる為に生きてるんじゃない」
「え? それじゃあ男に生まれてきた意味ないじゃん」
「……」
僕はユウジと全然話がかみ合わず、苛立ちながら黙って布団に入った。
■幼馴染
翌日、本館にある女子育成科の女子生徒を相手にエスコートの実践授業が行われた。
正直、僕は気が乗らなかった……そこにはちょっと苦手な幼馴染の美鈴が通っているからだ。
美鈴は資産家の郷音寺家の長女で各界でも有名なお嬢様だ。
こういう時に限って運悪く、僕は美鈴にエスコートを実践することになった。
「ヒロシ、久しぶり! 元気してた?」
「はい……美鈴お嬢様」
「プッ! 何よそれ! ってそうよね、私達の設定は執事マニアなお嬢様とその彼氏だったわね、なんか変なの」
僕の心はもうムチャクチャに荒れていた……美鈴は昔から僕にちょっかいを出してからかうのが大好きな女の子だ。
からかわれるのが嫌で逃げ回るのに、いつも僕を追いかけて傍にいる。
見た目は優しそうでとてもカワイイ女の子だが、中身はかなりのSだと思っている。
「って言うか、設定も何も私はお嬢様だし。ヒロシだけ違うって感じね……私に敬語使わされてムカついてるでしょ?」
「そっ、そんなことはございません。美鈴お嬢様……」
ここで言葉を荒げたりすればたちまち僕は退学になってしまう。
そうなれば両親をがっかりさせることになるし、退学は高額な罰金を払わされるという不条理な規則がある。
手も足も出せない僕の姿を見て意地悪くニヤニヤする美鈴に腹が立った。
「(ちっくしょー、覚えてろよー!)」
「ねぇヒロシ、爪を切ってくれない?」
「!?」
美鈴はソファでくつろいだまま靴を脱ぎ、ソックスを履いたままの右足を僕の前へと投げ出した。
補助教員がそれを見て即座に爪切りを用意する。
つい最近まで対等に話をしていた幼馴染の女の子の足の爪を切らされる……こんな屈辱があるだろうか。僕は一瞬ムッとした表情になる。
「……」
「どうしたの? 早く切ってよ、ヒロシ」
無言で突っ立ったままの僕を補助教員が睨む。何もしない訳にはいかなかった。
「……はい、美鈴お嬢様」
「じゃあよろしくね、ヒロシ」
美鈴はニヤニヤしながら僕の顔を覗き込む。
僕は仕方なく膝まづくと、美鈴のソックスを優しく脱がし、爪の手入れを始める……この手順は特別授業で習っている。
しかし、授業では年上の女性教師が相手だが今は違う。僕はとんでもない屈辱を感じて顔が真っ赤になる。
「へー、上手じゃない」
「……」
「褒めてあげてるのに、返事は無いの?」
「……ありがとうございます、美鈴お嬢様」
まだ短い人生の間だが、こんな悔しい思いをしたのは生まれて初めてだった。
「ねぇ……私の脚ってキレイでしょ?」
「えっ!? は、はいキレイです、美鈴お嬢様」
そう言われて女の子の、しかも幼馴染の女の子の脚に触れ、間近でそれを見ている自分に気付き、急に気恥ずかしくなった。
さっきまでイライラして気がつかなかったが、目の前に美鈴のスカートの裾が見える。僕は不覚にもドキドキしてしまった。
「……感じる?」
「え?」
「男の子として、私の脚に魅力を感じる? どう?」
「そ、それは……」
僕はどう答えて良いのかわからず、オドオドしてしまった。
ふと顔を見上げると、恥ずかしいのか美鈴も赤い顔をして僕を見降ろしていた視線を逸らせた。
僕は素直に褒めるパターンを選んで返答した。
「はい……とても魅力的でございます。美鈴お嬢様」
「アハハッ! おっかしーの、ヒロシのえっち」
「……」
人生最悪のエスコート授業が終わり、部屋に戻った僕は思いっきり布団を殴りつけた。
「ちっくしょーっ!!」
■性教育
「みなさんよく頑張りました、基本授業は本日で終了です。この知識を生かして将来のパートナーが望む男性になることを期待しますね」
人生、社会生活において女性に尽くす基本テクニックは全て叩きこまれた。
将来どんな女性と一緒に暮らすことになっても対応できる男になってしまった。
それでも僕は男のプライドだけはなんとか保っている、そのつもりだ。
「これからみなさんには男の子として最も重要な授業を受けて貰います。夜の御奉仕……わかるでしょう?」
僕たちはその言葉に動揺した。
夜の御奉仕……まさか性生活までここで教えると言うのだろうか?
「ただし、パートナーがそれを望まない女性であれば性行為は生涯禁止です。場合によっては去勢も男性の身だしなみですからね」
「ええっ!?」
場合によっては去勢される。この言葉にはさすがにみんながざわめいた。
「フフフッ、静かにしなさい、もちろんこれは極論です。去勢される男の子なんて滅多にいないから安心しなさい……女の子も本当はチンポが好きなのよ」
ジェーン先生の口からチンポという言葉が出るとは思いもしなかった。
「それではまず、みなさんの男の子としてのスペックを測定しますね」
スペック? すでに入学時に大きさまで測られているのに、これ以上何を測定するのだろうか?
そう思っているとジェーン先生が全員に妙なゴム製の機械を配り始めた。
「これって……大人のおもちゃ!?」
手渡されたのは大人のおもちゃ……女性器をかたどったアレだ。
「みんな行き渡ったわね、では起立!」
ジェーン先生の号令で全員が起立した。
「ではみなさん、ズボンを下ろしてチンポをお出しなさい」
「えっ! ここでですか!?」
「私、女性が命令してるのですよ? 早くチンポを出しなさい!」
そう命令されて僕たちは渋々ズボンを下ろし、チンポを露わにした。
授業中の教室で、しかも美しい女性教師に見られながらチンポを出す……またも思いがけない屈辱を受けることとなった。
「フフッ、改めて見るとみんな良いチンポですね……もちろん悪いチンポでは入学できませんけどね」
ジェーン先生は全員のチンポをジロジロと確認しながら歩く。中には勃起させてる奴もいた。
「では、すでにはち切れそうに勃起しているユウジ君を見習って、全員チンポを勃起させなさい」
急に勃起させろと言われても、自分の意思で勃起させるなんて不可能だ。
「あらあら、そんなことでは女の子に嫌われてしまいますよ? 勃起した男らしい姿を見せられない子は男の子失格ですね、フフフッ」
そう急かされて僕は必死に興奮出来るネタを考えた。
ジェーン先生に見られた時にすでに勃起してるユウジはどうやって勃起させたのだろうか? 僕には全く理解できなかった。
そしてなぜか頭に浮かんだのは、美鈴の脚とそのスカートの裾だった。僕のチンポは一気に勃起した。
「(なんで美鈴なんかで……)」
そう思えば思うほど、美鈴の白く細い脚とスカートの奥が気になり、チンポがビクンと勃起する。
「ハイ! みなさん良く出来ました。チンポを勃起させる事が男の子に唯一許された男らしさの主張ですからね」
この後の展開は想像が付く。なんて屈辱な状況だろう……しかしチンポは勃起したまま男らしさを主張する。
「ではみなさん、さっき渡したソレをチンポに装着しなさい」
「……」
「返事は?」
「ハイッ……」
威勢良く返事はしたものの、こんなモノにチンポを挿し込むなんてとても情けなく感じた。
しかしジェーン先生の命令に背くことは許されない。僕は意を決してそこにチンポを挿し込んだ。
「(き、気持ちいい……)」
オナニーとは全然違う、初めて感じたチンポ全体を包み込む感触に一瞬身震いがした。
僕たちの表情は一瞬で緩み、とても情けない顔になった。
「フフフッ、みんな良い顔よ、可愛いわね……では測定を始めるわ」
(ヴヴヴヴ……)
先生がタブレットの画面に触れると、同時にチンポを挿し込んだ大人のおもちゃが振動を始めた。
「(あっ……出る!)」
「このテストでは基本耐久時間を測定します、3分以内で射精した子は退学です」
3分以内で射精すると退学。とんでもない宣告に僕は必死で絶頂感を堪えた。
他のみんなも必死で頑張っている。入学生活の心得にオナニーは最短でも3分以上我慢しろと書いてあったのはこのテストの為だったのだろうか。
「フフフッ……みんなイイ顔をしているわ、頑張りなさい」
オナニーとは全然違う快感に腰が抜けそうになり、腰をくねらせながら椅子の背もたれをギュッと握りしめて我慢する。
真昼間の教室でこんなことが行われるなんて、他の学校の生徒は夢にも思わないだろう。
「ああっ! もうダメだ!」
時計を見ると10分ほどが経ち、他の生徒も何人か果て始めた。
僕も限界を超えて大人のおもちゃにドクンドクンと射精をしてしまった。
最高の快感だ。その時の情けない表情をジェーン先生はクスクスと笑いながら、恍惚とした表情で眺めている。
「みなさんよく頑張りました。やっぱりあなた達は男の子のエリートね、これからもっと我慢できるようになってもらいます、もちろん出来るでしょう?」
「ハイッ」
「フフフッ、長持ちするチンポは女の子が喜ぶわよ。良いおもちゃになるのだから」
女の子のおもちゃになんかなりたくない……でも、チンポが気持ち良くなる授業が続くことに期待感を持ってしまう自分がいた。
僕の男のプライドはどうなってしまうのだろう……少し不安になった。
■オーナー制度
射精訓練が始まって数カ月が経つと、何人かの生徒は別々のコース授業を受けるようになった。僕もその一人だ。
「えっと、ヒロシ君ね。私は男の子コーディネーターの柴田亜由美です、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
「知ってると思うけど、この学校は男の子の消費者である女性が出資するオーナー制度があるの」
「え? そうなんですか?」
「あらら、知らなかったの?」
「はい」
「出資した女性は、ここの男の子をゲットして思いのままにコーディネートできちゃうの。私のハニーはこの制度でゲットしたのよ〜、毎日お家に帰るのが楽しくなっちゃうの」
「はあ……」
「ヤダ、ノロケちゃってごめんなさいね」
出資すれば男の子の人生を好きに出来る……これって人身売買じゃないのかと不安に思いながらコーディネーターの話を聞き続けた。
「あら、君はクールなのね」
「え? どうしてですか?」
「君がここに居るってことは、君の事が好きな女性が存在するってことなのよ?」
「そんなことを言われても……実感が」
「そうね、でも男の子が男の子として役に立つには、女の子が必要でしょう?」
「はい……」
「君はそれを手に入れたって思えばいいの、いわゆる勝ち組ね」
「手に入れた……」
手に入れたと言えば聞こえは良いが、どこの誰ともわからない女性に僕の一生を束縛された……人生を購入された屈辱は大きい。
「難しい表情をしてるわね」
「すみません」
「じゃあ聞くけど、君はオチンチン使いたいでしょ?」
「え!? ……はい、使いたいです」
「それが男の子の唯一の幸せなの、それにはまず相手が必要でしょ?」
「はい」
「その相手がもう居るんだから、君は幸せなの!」
「……わかりました」
僕の男のプライドなど知る由もなく、コーディネーターの亜由美さんは語り続けた。僕はそれを受け入れるしかなかった。
「良い決断よ、褒めてあげる。私のハニーも幸せよ、こんなにカワイイ私にあんなことやこんなことをされちゃうんだから……ヤダ、またノロケちゃった」
明るく可愛らしい亜由美さんとは対照的に僕は難しい顔をしたまま、オーナーになる女性と対面する為に特別室へと向かった。
「そうそう、言い忘れてたけど君のオーナーは女性と言うよりは、女の子って言った方が良いわね。嬉しいでしょ?」
「女の子ですか?」
同い年ぐらいの女の子なのだろうか? 思いっきり年上ではないと安心する一方、女の子に良いようにされると思うと僕の男のプライドが疼いた。
「失礼します」
軽くノックをして特別室に入ると、中央のソファに腰掛ける女の子の姿が目に入った。
大きな窓からの逆光で眩しかったが、その制服は女子育成科の制服だとすぐにわかった……そしてその栗色のセミロングヘアには見憶えがあった。
「みっ! 美鈴っ!」
「はじめまして、ヒロシ君……じゃないわね、久しぶりねヒロシ」
美鈴が僕のオーナー……僕は立っている床が揺らめくように感じるほどショックを受けた。
「何凄い顔してぼーっとしてるのよ、そんなに私が嫌なの?」
「あら、お知り合いなの?」
「ええ、ヒロシは私の幼馴染なの」
「キャー素敵! 私、幼馴染って憧れてたの、良かったわねヒロシ君」
美鈴の話に亜由美さんは勝手に盛り上がって僕たちを祝福する。
幼馴染に買われる男の屈辱が理解できないのだろう……僕は全く言葉が出なかった。しかし、この現実からは逃れられない。
「……」
「ちょっと、何か言いなさいよヒロシ」
「どうして僕を買ったんだ?」
「買われるのが嫌なの? それとも私が嫌なの? どっち?」
「それは……買われるのが嫌に決まってるだろ!」
「そう、良かった」
「良くないよ!」
「何よ、刃向かうの? 退学になるわよ?」
「そ、それは……」
美鈴は開き直ったように、僕を脅して諦めるように言う。
「ヒロシが悪いんだからね」
「僕が? なんで?」
「ヒロシが……いっつも逃げちゃうから」
「美鈴……」
美鈴はそう言うと僕の両手をそっと握った。
今までいつも傍に居て、異性として気にならないと言えば嘘になる。
正直に言うと好きかもしれない、でも付きまとわれるのが嫌で彼女にしたいと思ったことは無かった。
「こんなことをする前に言ってくれれば……」
「言ったじゃない!!」
「あ……」
美鈴は急に涙ぐんで僕の両手を突き放した。
この学園に入る前、卒業式で美鈴が僕に告白したのを思い出した。
『ヒロシ、私の事好きでしょ?』
『え!? そ、そんなことないよ』
『ウソ、絶対好き』
『違うってば……』
『私はヒロシのこと……す、好きなんだから……ヒロシも私の事好きに決まってるの』
『えっ……』
僕はその後、そのことをうやむやにして何も答えずに、そのままこの学園へと来たのだった……。
「でもいいの、許してあげる。もうヒロシは私のモノなんだから」
「僕はまだそんなの認めてない!」
「あら、さっきわかりましたって言ったわよ?」
コーディネーターの亜由美さんが美鈴にフォローを入れた。
「じゃあ交渉成立ね、今日からヒロシは私だけの男の子」
「ええ、もちろん。話は聞いてたけど、ヒロシ君が悪いわよ? 勇気を出して告白してくれた女の子に恥をかかせるなんて、男の子失格ね」
僕は何も言い返せず、そのまま二人に言い負かされてしまった。
「ホントは私のこと好きなくせに、何年幼馴染やってると思ってるの?」
「そ、それは……」
「私がお世話してあげたらすぐに男のプライドがって逃げちゃうんだから……これからは素直になってもらうからね」
「……」
「まだ男のプライドがとか思ってるの? でもいいわ、これから私好みの男の子に調教してもらうんだから、その時は素直に好きって言いなさいよ」
僕はもう何処にも逃げることが出来ず、美鈴専用の男の子として教育……否、調教されることになってしまった。
■調教
それから僕は資産家である美鈴のパートナー、夫として気品のある行動や社交辞令を身に付けることを徹底して教育された。
あの勝気な美鈴が、社会では気品ある資産家のお嬢様で通っているのが恐ろしいと思った。
美鈴は両親と僕の実家に挨拶に訪れ、僕が婚約者になったことを報告したそうだ……。
両親からの喜びの電話を受けた僕は、もう逃げ道は無くなってしまったと悟った。
男らしく自分で自分の生きる道を決めたい。その思いは大きく崩れ去ってしまった。
しかしルームメイトのユウジはそんな僕の気持など知らずに大はしゃぎする。
「ヒロシって凄いな!」
「何がだよ……」
「あの郷音寺家の美しいお嬢様に買われるなんてさ、ホントすげーよ」
「……そんなことないよ」
「いいなぁ、夢の逆玉じゃねーか、俺も誰かに買われたいよ」
「ユウジはいいな、幸せそうで」
「何言ってるんだよ、幸せなのはオマエだって。あの綺麗なお嬢様にチンポを見てもらえるなんて、夢だよ夢!」
「……」
女の子にチンポを見られるだけで興奮すると言うユウジ。
僕はユウジが心底幸せな奴だと思った、まさにこの学園の理想の生徒だろう。
(コンコン)
「ヒロシ君はいるかしら?」
「は、はい」
夜だと言うのにジェーン先生が部屋を訪れ、僕を連れ出した。
「先生、一体どうしたんですか?」
「お客様がお待ちよ」
「お客様?」
「ええ……」
僕と先生に連れられゲストハウスへと向かい、その部屋へと入るとそこには美鈴が待っていた。
「美鈴……」
「ちょっと久しぶりね、ヒロシ」
「じゃあ私は帰らないといけないからこれで失礼しますね、ヒロシ君は御用がすんだら部屋へは自分で戻りなさい」
「はい……」
ジェーン先生はそのまま部屋を出ると、ゲストハウスに静寂が訪れた。
「僕の家に、行ったんだって?」
「ええ、ご両親喜んでたよ」
「そっか……」
「怒ってる?」
「ううん、怒ってない……諦めたから」
「諦めたって何よその言い方……まだ素直じゃないのね、また男のプライドって言うの?」
美鈴は僕の物言いにムッとした表情で僕を責め立てる。
「男のプライドって何なの?」
「こう言うことは僕が決めたかった…」
「だったらなんであの時、素直に好きって言ってくれなかったの?」
「……」
「全然男らしくないじゃない、バカ!」
美鈴にそう言われて、確かにそうだと思った……。
「私、何人もの人から婚約を申し込まれてるんだよ?」
「え? 何人も?」
「そうよ、有名な家の子息とか、芸能人もいたんだからね。みんなカッコイイ男の子や素敵な男性ばかり」
「婚約すれば良かったじゃないか」
「嫌よ……私はヒロシが好きなの」
「……僕が?」
「そうよ、色んな人から婚約を申し込まれるこの私がヒロシに惚れてあげたのよ? それでもその男のプライドとやらは満足出来ないの?」
僕は何も言い返せなかった。
「でもいいわ、そんなちっぽけな男のプライドなんて……女の子の魅力には敵わないんだから」
「魅力って?」
美鈴はそう言いながら僕の横に肩を寄せるように座り、僕の方を向くとそのまま目を閉じた。
美鈴は僕にキスを求めている……僕はドキドキするだけで何も出来なかった。
「……また私に恥をかかせるの?」
美鈴のその言葉に僕はハッとした。
これだけ女の子が僕の事を慕っているのに、僕は逃げてばかりいた……男のプライドと言いながら女の子に恥をかかせる、とても女々しい事をしていたのだ。
「美鈴……僕も美鈴が好きだ」
「ヒロシ……」
(チュ……)
僕と美鈴は幼馴染としてはちょっと遅めのファーストキスを交わした。
授業で習ったことを全て生かして、最高のキスをしてあげた。
「アハッ……やっと素直になったね、ヒロシ」
「わ、笑うなよ」
「でも、これぐらいじゃ許さないんだからね!」
「うわっ!」
美鈴はいきなり僕を押し倒し、ズボンの上からチンポを握りしめた。
「みっ! 美鈴っ!」
「な、何動揺してんのよ……これぐらい訓練したんでしょ?」
「そういう美鈴こそ、顔が赤くなってるぞ」
「もう、うるさいんだからっ」
(ギューッ)
「痛い痛い、ごめんごめん」
「アハハッ……チンポ、硬くなってきたね」
「うん」
「私が握ったから?」
「そうだよ」
「嬉しい……見せて、ヒロシのチンポ」
その言いながら美鈴は僕のチャックを開いて、そこから無理やりチンポを取り出した。
「うわっ!! 昔より大きいチンポ」
「小さかったら困るだろ?」
「そうね、チンポが小さかったらヒロシが可哀想だもん……アハハッ」
「僕が?」
「キンタマも見せて」
「ちょっと待って、痛い痛いっ!」
美鈴はチャックから指を突っ込んで無理やりキンタマを引っ張り出した。
その強引な引っ張り出しの途中でコリッという感触がして、僕は悲鳴を上げる。
「イタタタタタッ、痛っ!」
「ごめん、ホンモノだと加減が判らなくって」
「ホンモノ?」
「ニセモノのチンポとキンタマで男の子を虜にする練習をしたんだよ、私」
僕は女子育成科でもえっちな練習がある事を初めて知った。
「どんな練習?」
「ヒロシのえっち! それ聞いて変な想像するんでしょ?」
「ち、違うってば……ただの好奇心だよ」
「あんなことやこんなことや、キンタマを潰したり、チンポをちょん切ったり」
「つっ! 潰すっ!!」
衝撃の訓練内容に僕のチンポは萎え始めてしまった。
「アハハッ、チンポが萎えてるよ……怖かった?」
「怖いに決まってるよ!」
「安心して、だってヒロシのキンタマを潰したら、郷音寺家の子孫が途絶えちゃうし」
「そ、そうだよな……フゥ」
「そうだ、精子を保存すれば潰してもいいかも」
「いやいやいやいや、やめてくれっ!」
「アハハハッ……ねぇヒロシ、ホントに失いたくないのは男のプライドじゃなくて、ココでしょ?」
そう言いながら美鈴は僕のチンポとキンタマをギュッと両手で優しく包み込んだ。
「そう……かもしれない」
「また、素直じゃないんだから」
美鈴はそのまま僕の萎えかけたチンポを両手でそっと握り、指先で丁寧にしごき始めた。
右手で付け根から茎を上下にしごき、左手の指先で亀頭を撫でるように刺激する。
「み、美鈴……」
「女の子の指って気持ちイイでしょ……ヒロシ、情けない顔してるよ?」
一方的に攻められる状況に、やはり僕の男のプライドが疼いてしまう……。
しかし、美鈴の指先の感触には敵わず、為されるがまま僕は吐息を吐いてしまう。
その快感に僕のチンポは再び大きく勃起してしまった。
「ヒロシのチンポ大きい……カッコいいね、起ったチンポって大好き」
「カッコいい?」
「うん、カッコいいよ……でも感じてるヒロシの顔はカワイイ」
「アッ……」
美鈴は男の子を性的に支配することで感じるタイプだと理解した。
正直、男のプライドに拘る僕とは相性が悪いかもしれない……しかし、僕には逃げる場所はない。
「私にチンポを弄られて感じるなんて……素直になったじゃないヒロシ」
「……」
僕は恥ずかしくて何も答えられなかった。
素直になった自分の心に抗うため、僕は美鈴の膨らんだ胸へと手を伸ばした。
「あっ……ダメ」
「僕も美鈴を気持ちよくしてあげたいんだ」
「うん、ありがと……でも、まだ今はダメなの……」
美鈴はそう言いながら僕の手をその柔らかい胸から引き離した。
「今は私がしてあげるから、素直に受け取って」
美鈴はそのまま僕のチンポに顔を近づけると、一瞬だけ戸惑うと、そのまま僕のチンポを口に含んだ。
執拗に舌先でそこを舐め取り、僕はその快感で体が自然に動いてしまう。
「美鈴……ああっ、気持ちイイ」
美鈴は吸いついたようにチンポから離れず、僕のそこを攻め立てる。
「出る! 美鈴……ダメだ、出ちゃうよ」
射精すると知らせても美鈴はチンポから口を離さず、執拗に愛撫を続け、僕はその快感に打ち勝てず、そのまま射精してしまった。
(ドクッ! ドクンドクンドクンドクン……)
美鈴は目を閉じたまま僕の精液を全てを口に受け止めてしまった。
「……気持ち良かった……美鈴、口に出してごめん」
美鈴は無言のままニコッと笑顔を作ると、そのまま僕の唇をこじ開けるようにキスをした。
(チュ……ドロリ)
「!?」
美鈴の舌とともに僕の精液が流れ込んでくる、正直、耐えがたい味だ。
「フッ……これでおあいこね」
「うううっ……ペッペッ」
「マズイでしょ? それをお口に受けてあげたんだからね、私の愛がわかった?」
「う、うん……わかった……ペッペッ」
「アハハッ、素直でよろしい!」
僕と美鈴は洗面台で仲良く口をゆすぎ、再び先ほどのソファへと戻った。
「ねえ、ヒロシ……今の続き、したい?」
「続きって?」
「私の裸を見たり、おっぱいに触ったり、裸で抱き合ったり……もっともっとえっちなこと」
「したい」
「アハハッ、急に素直になるなんてヒロシらしくないね」
「いいじゃないか……」
僕の男のプライドはどこかに消えてしまったようだ。
今はとにかく美鈴とえっちなことがしたい、素直にそう思った……僕の男のプライドはチンポとキンタマに吸収されてしまったようだ。
■罰
ゲストハウスでの出来事から幾日が過ぎ、僕は急に美鈴が愛おしくなり、恋しくなった。
「(美鈴に逢いたい……)」
あんなことがあったから美鈴のことが好きになったのだろうか……そう思うと自分の下半身が情けなく感じる。
僕は自然とオナニーの回数が増えてしまった。あの時の美鈴の白くて細い指先の感触……そして口で咥えられたあの快感。
あの時のことを思い出すだけで、僕はすぐに射精してしまった。
そんな日々を過ごし、学園生活最後の冬休みを迎えた。あと数か月もすれば僕は美鈴の実家に婿として入らなければならない。
そのあとは俗にいう学生結婚生活を送りながら、二人そろって本校に併設される大学の経済学部へと進学することになる。
「ヒロシ君、女園理事長先生がお呼びよ。今から出頭しなさい」
終業式の後、ジェーン先生が理事長である女園先生の所へ出頭するように伝えに来た。
女園先生はこの学園の創立者で有名な女性実業家でもある、年齢よりも若く見えるとても魅力的な女性だ。
「失礼します」
僕は少し重みのある木製のドアを開き理事長室へと入った。
そこには理事長の女園先生の姿があり、なぜか美鈴が一緒にテーブルについていた。
その表情は神妙で、重苦しい空気が流れていた……。
「あなたもここに座りなさい」
「はい……」
女園先生に命令され、僕は美鈴の横に座る。あの明るい美鈴がずっと下に俯いていたのが気になった。
「なぜここに呼ばれたのかお分かりかしら?」
「いいえ、わかりません」
「そう……ゲストハウスでのことと言ったら分かるかしら?」
「!?」
「あの行為は学園内での重大な禁止事項です、あなた達はそれを破ったのですよ?」
「……」
どうしてあの時の事がばれてしまったのか僕にはわからなかった……監視カメラでもあったのだろうか。
とにかく今は大変なことがバレてしまった、僕は全身から血の気が引いていった。
「もちろん、あなた方の関係は理解して尊重します。でも、仮にも当学園の生徒同士がゲストハウスであのような行為をする事を決して許すわけにはいかないのです」
「……」
僕と美鈴は何も言い返せず、ただ黙って俯くしかなかった。
「理由はどうあれ、あなた方には罰を受けてもらいます。よろしいですね?」
「罰……ですか?」
「ごめんなさい……私が悪いんです」
「美鈴さん、確かにあなたにも非がありますが当学園の方針により罰は男性である彼だけに課します」
僕にだけ罰が課せられる……一体どんな罰なのだろうか?
とりあえず美鈴は罰を受けない、それだけは嬉しかった。
「上宮ヒロシ君、あなたにはペニス切断の罰を受けてもらいます」
「なっ!?」
「そんな、困ります!! ヒロシは私の婚約者です! 切るなんてそんな……」
チンポを切断される……僕は気が遠くなりそうだった、そんな重罰が待っているとは夢にも思わなかった。
「それは十分わかっています。でもルール違反を許すわけには行きません。精巣は残しますし婚姻関係にも影響が無いようにサポートもします」
「そんなサポートいりません! ヒロシのチンポ切らないで! お願いです切らないで下さい……」
「美鈴……」
美鈴が僕の為に必死に女園先生を説得している……そんなに僕のことを大切に思ってくれている。愛してくれている。
チンポを失うショックで座り込み、何の言葉も出ない自分が情けなく思った……。
「美鈴さん、落ち着きなさい」
「落ち着けませんっ! これは私のチンポですっ!」
「冷静に話を最後までお聞きなさい。彼のペニスは一旦切り離しますが元通りにくっつける事が可能です、見た目も大きさも、機能の回復も学園が保証します」
「ええっ?」
切り取ったチンポが元通りになる……猟奇事件などで良く聞くが、本当に完璧に機能するのだろうか? 正直不安が残る。
「本当に、完璧に元通りになるのですか?」
「ええ、本校の医学部、特に泌尿器科は世界最高の水準なのですよ。取ったり着けたり、更に大きくすることも出来るのだから」
「……大きくできるのですか?」
「あら、美鈴さんは彼のペニスを大きくしてほしいの?」
「もう3センチぐらい長いのが私の理想のチンポです……先っぽがおへその位置なのがカッコイイと思うから」
急に話がおかしな方向に流れてしまっている。僕は慌てて制しに入る。
「ちょっ! ちょっと待ってくれ! 僕はチンポ切られたくない!」
「うるさいわね、元通りになるなら良いじゃない。しかも今よりもっと大きくなるのよ?」
「他の生徒に示しがつかないから、ペニス切断刑は免れません、お諦めなさい……その代わり、あなたの名前は出さずに匿名で公開して差し上げます、美鈴さんの名誉の為に」
僕は美鈴の説得に失敗した。
美鈴の僕に対する愛は確かなのだろうか? すごく不安になってしまった。
「では、話は成立ね。処刑を開始しましょう」
「え? 今からですか?」
「ええ、あなたのペニス切断は私が執刀します」
「ええっ! 女園先生が!?」
僕と美鈴は驚いて揃って声を上げた。
「安心しなさい、私は元は医者です。それにペニスは切断だけなら簡単なのよ」
「簡単? 私にも出来ますか?」
「ちょ! 美鈴っ、何考えてんだよ!」
「だって、それは私のチンポよ? どうしても切らないといけないなら、私の手で切りたいの! ヒロシだって先生より私が切った方がうれしいでしょ?」
僕は人生最大の危機を迎えている。
さすがに不安を感じた僕は取りあえず逃げようと思い、ゆっくりと席を立った。
「あらヒロシ君、どこに行くのかしら?」
「あの……トイレに行きたいんですが」
「そうですね、ペニスを切断したら当分立って出来なくなるから。行って来なさい」
「私も行く!」
「み、美鈴!」
僕は美鈴に腕を組まれて、そのまま男子トイレへと連行される。
僕が逃げようと思ったことに気付いているようだ。
「また逃げるの?」
「だって、チンポを切られたら僕は男じゃなくなるんだぞ?」
「私だって、ヒロシがチンポを切られちゃうのは悔しいし悲しいに決まってるでしょ!」
「本当に?」
「本当よ! 私がヒロシを愛してないって言うの? ふざけないでっ! ううっ、ううっ……グスッ、グスッ」
「ごめん……」
僕は美鈴を泣かしてしまった……そのことで急に冷静になれた。
もちろんチンポを切られる状況で正気を保てる男なんていないだろう。
この学園で女の子の笑顔を生きがいにするよう調教された結果なのかもしれない。
僕は美鈴に見守られながら便器に向かいチンポを出すと、当分の間出来なくなる立ちションをした。
「ヒロシがおしっこする姿を見るのって、何年振りかな」
「小学生の頃だよな、確か」
「うん、そうそう……私、チンポ欲しいって思ったもん、アハハッ」
「もう、何年も僕の近くにいるんだよな……美鈴って」
「今頃気づいた? こんな可愛い女の子がずっと傍にいるって」
「その可愛い女の子が僕のチンポ切るんだろ?」
「そうよ、それとも女園先生に切られる方がイイの?」
「そういう問題じゃないだろ……」
「もし元通りにならないなら、私はヒロシと一緒に逃げてる……信じて」
「うん、わかった……信じるよ」
美鈴は僕の傍に寄ると、そのままキスをしてくれた。
そのまま、そっと左手をチンポへと添えて一緒に立ちションの感覚を味わった。
「このまま手で出してあげよっか?」
「もしバレたらキンタマまで取られかねないって」
「その時は一緒に逃げてあげる、私の財力でこの学園潰しちゃうから」
「だったらチンポも……」
「ダメよ、だってタダでチンポを大きくしてくれるからいいじゃない」
「……ホントに美鈴はチンポが好きなんだな」
「私をヘンタイみたいに言わないで! ヒロシのチンポが好きなの……(チュ)」
僕は美鈴の手で二回目のテコキをしてもらい、当分の間味わえなくなる快感を楽しんだ。
そして亀頭に被せた美鈴の手の平へとドクッ、ドクッ、ドクッと大量に白い液を吐き出した。
僕の射精した精液はその手から便器へと滴り落ちた。
僕のモノは彼女のモノ(後編)へ続く
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投稿:2013.01.30更新:2013.01.31
僕のモノは彼女のモノ(前編)
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