初めての方は古城の中から◆PART1〜バブルの果て◆からお読みください
この作品は古城の中から◆PART6〜衝撃のスピーチと実証実験◆からの続きです
中山博士の講演会と衝撃的な実演が終わると、招待客は大広間から出るように促された。実験台となったボランティア会員も、拘束を解かれて傷の手当のためにスタッフに抱えられるようにして退場した。東洋文化大学の3人の学生だけが、まだ招待客の質問攻めに遭っていたが、そのうちに取り巻いている客たちと一緒に、部屋の外に出て行った。
招待客は、既に夕暮れも近かったが外に散策に出かけたり、館内をもう一度見て回っって説明を聞いたりしていた。中でも人気があったのは、あの中国館のリアル宦官の案内人であった。
お客が案内された先はステージが広い野外劇場のようなところ。何かの競技場のような雰囲気もあるが、ステージの先には野原や山が広がっていてかなり大きなイベントもできそうな場所である。
各自の観覧席には、ゲーム機のような押しボタン装置が置かれていた。
観客席のすぐ前には、石造りのステージがあって、ここで特別ショーがあるらしく、何やら準備作業が行われていた。
主催者挨拶に続き、司会者がショーの開始を告げた。その説明によると、今日の特別ショーのメインは、直前の講演会の続きの趣向だという。
見学者の手元には何かの投票用らしきリモコンが配られている。
まずは前座として、ステージ後ろでショーが始まった。左右に4台のクレーンが待機していて、その前に女性が一人づつ縛られたまま横になっている。
やがて合図とともにクレーンのアームが持ち上げられ、クレーンの先のワイヤーが巻かれると、横になっていた女性の首に巻かれていたロープが引っ張り上げられ、やがて女性は空中高く吊るされて絞首刑の完成となった。
体験者の女性の服装は自由らしく、全裸のまま縄で縛られていたり、下着姿だったりしている。
続いてその奥にある門の形をした木の枠の下に、2人の和服の女性が連れられてきた。白い装束の上から縄で身動きできないように縛られている。
そのまま木の枠の真下に立つと、首に縄が掛けられ、女性の体はロープで空中に引き上げられた。これはクレーンではなく8人がかりの作業で、ゆっくりと進行した。
しかし足が地面から離れてからは、クレーンによる絞首と同じで、2人は多少もがいたものの、ゆっくりと絶命していった。
やがて、絞首刑の実体験は、ごく日常的に行われるようになっていく。
絞首刑後の死体の晒を希望する体験者が非常に多かったので、最低1週間はその場にそのまま晒されるというルールもできた。
古城の中には絞首刑に適した場所がいくらでもあったので、長期間の死体晒体験も十分に可能であった。
絞首刑用のハングスマンノットの縄は、体験者自らが選ぶとのことで、この選択も絶命までの時間に多少は影響するようだ。
最近は、ロープで吊る普通の絞首刑だけではなく、鉄環絞首刑(ガロット)による処刑体験も人気があるという。
これは、本場のスペインや南米では、絞首で窒息死させるタイプと頸椎を尖った螺子で破壊するタイプがあったが、人気なのは断然前者である。
このショーが終わり、正解者に賞品が配られると、メインイベントの準備が始まった。
まず司会者は、今回のショーは中国が舞台と説明した。続いて招待客に、先ほどの中山博士の講演の中の、多様な死刑が行われると、身体を一気に燃やす火刑と、一寸刻みに肉を削いでいく凌遅処死とどっちが重いか、識者の意見が分かれたという部分を思い出すようにとアピールした。
招待客の半数近くは、すぐにこれから行われるショーの中身をなんとなく察知したらしく、どよめきが起こった。
目隠しの幕が取り除かれると、ステージの上には高さ3メートルほどの四角い柱が立っていて、そこに全裸の男性がそれぞれ縛り付けられていた。どうもまだ前座の続きらしい。
向かって右側の男性の背中の柱は、やや後方に傾いている。そこに20代と思われる男性が柱にもたれかかるようにして、腕を頭上に上げる格好で、手足を別々の縄で結ばれている。
向かって左側の男性は柱に直接縛られていて、身体は真っ直ぐに立っている。40歳ぐらいの男性は両手首を背中で縛り付けられている。
それから2人の股間の毛が綺麗に剃り落され、性器が丸見えとなった。
ショーが始まると、まずステージ上に清代の官吏に扮したスタッフが立ち、縛られている2人に宮刑を科すと宣言した。招待客からは先ほどとは違った歓声があがった。
ステージの両袖から、今度は刑吏に扮したスタッフたちが現れた。そのうちの2人は、中国館に飾られていた、あの独特の形をした去勢刀を持っっている。官吏が2人の男性の陰茎と陰嚢をまとめて、根元を細い紐で縛り上げる。紐は強い力で性器の付け根の皮膚に食い込んで行き、すぐに見えなくなった。紐が作る輪はおそらく1センチ以下になっているはずである。
司会者は、切断したとき2人のどちらの性器がより遠くに飛ぶか、押しボタンで投票するように、招待客に呼びかけた。お客は、右の男性の若さに期待するか、柱が直立していて有利そうな左の男性に賭けるかちょっと悩んだ様子であったが、やがて全員が思い思いにボタンを押した。
ステージの上には電光表示板があって、右の男性の票の方がやや多かった。2人の男性の性器は縛られて鬱血して、ぎんぎんに勃っている。しかし彼等の表情からは、苦痛はうかがえず、むしろこれから行われることを期待するような、笑みが読み取れた。
刑吏は、2人の局部が招待客によく見えるように、横に立ち、去勢刀を振り上げた。ステージの下で太鼓が鳴らされた。
そして結果は・・・・去勢刀が一閃すると、勝負は一気に決した。やはりやや上を向かされていた右側の青年は不利だったらしく、赤黒い性器の塊は足元から30センチほどのところに落ちていた。一方、左側の男性は刑吏のひねるような切り方が上手かったのか、切断された性器は回転しながら、はなんと1メートル以上飛んでいった。
身体の中心部を一瞬で切り落とされた2人の男性は、少し置いてから痛みが襲ってきたらしく、叫び声をあげた。が、それもわずかの間であって、直ちにぐっとこらえたのは、さすがボランティアの中でも選りすぐりの志願者と言ってよく、満場の招待客からは、盛大な拍手が沸き起こった。
このようなエキサイティングな去勢体験も、志願すれば誰でも受けることが可能で、そのための常設の「公開宮刑台」まで用意されている。公開宮刑の前後はちょうどこんな感じだそうだ。
また、柱が垂直だとこんな感じになる。
このタイプの公開宮刑は、基本的にあらゆる場所で可能とのことだ。
樹木に縛り付けられての去勢では、樹木の数が多く、次の体験者に4に場所を譲る必要がないため、切断痕が治癒するまでそのまま野外で晒されて過ごす。
2人の男性が拘束を解かれて、刑吏に介助されながらステージの袖に消えると、今度は別の4人の男性が現れた。やはり全裸である。 2人とも自分で進んで鉄柱のところに歩いて行く。男性は20代から40代であろう。全裸は同じであるが、陰毛は剃られていない。そして、そのうち2人は、本来はそこから覗いているはずの股間の突起物がなぜか見当たらない。
司会者が説明したところによると、先ほどのショーはまだ前座のうちであり、これからがメインのショータイムであるという。
今回登場した男性のうち2人は1年前に今回の博物館構想が持ち上がったときに、自らに実験台に志願して完全去勢をされているとのことて、先ほどの去勢のショーは、その様子を再現したものだそうだ。道理で股間には何もないわけである。
2人とも今回はその宮刑より過激なショーを志願していたのである........
去勢された男性のうち1人が、ここで六尺褌を着用した。他の男性は全裸のままである。
そこまで同行した刑吏役のスタッフによって、先ほどの2人と同じように、縄で拘束された。
褌を着用した男性は江戸時代の火刑スタイルで、拘束には鎖も使われ、胴体の周りに大きな竹の輪が取り付けられた。
司会者は、これから日本の火刑と中国の凌遅処死の同時進行のショーを行うことを発表した。
体験者は、本来は2人づつにしたかったが、本人の希望で、火刑が1人、凌遅処死が3人になったという。
どうやら六尺褌の去勢者1人が火刑の、残りの3人が凌遅処死の実演台になるようだ。
3人の男性が縛られている柱に、別の刑吏が近づいてきた。刑吏の1人は先ほどの去勢刀よりはるかに大きな中国刀を持っている。この刑吏が体験希望者に近づく。
刑吏は、斜めの鉄柱に縛られてやや上を向いた体験者の横に立つ。と、左胸に大きな刀を当て、そのまま胸の肉を躊躇なく削ぎ取った。切断面からは肋骨らしきものが見える。招待客から驚きの声が上がる。
切り取られた肉片はステージの上の石畳にそのまま落ちる。
続いて2人目の体験者の身体にも刀が入れられる。
筋肉を削がれて自力で動けなくなった体験者は、両脚を膝下で切断され、左腕も切り落とされようとしていた。
しかし、多少のうめき声はするものの、悲鳴を上げるようなことはない。
続いて3人目、右胸、左の上腕、右の上腕、左の太腿、右の太腿の順に、生身の肉が削がれていく。
出血は意外に少ない。
両脚も両腕も切り落とされた3人は、ついに胴体を解体されようとしていた。
もうほとんど息絶えているのであろうが、刀が内臓を抉ると、ピクピクと身体の一部が反応する。
ステージの石畳はさすがに血の海、その上に刻まれた人肉が積みあがっている。
その上に、切断された首が落ちてきた。
その頃、鎖で縛られた左の男性の身体の周囲には、薪が積み上げられていた。薪の輪を重ねたのようにして顔の部分まで積まれると、今度はその周りに藁束が積まれていった。やがて藁束は去勢者の身長より高くなり、鉄柱の先端が50センチほの見えるだけとなった。
別の刑吏がステージに上がった。手に松明を持っている。刑吏は松明の火を高く掲げて見せてから、足元の藁束に火を着けた。
褌姿の去勢者を覆い隠してした藁の山が一気に燃え上がる。
体験者の周囲に煙が渦巻き、炎はますます勢いよく燃え上がった。
薪に藁から火が移ったらしく、体験者は燃える柱と化していく。
その中から微かに悲鳴が聞こえたのは気のせいであろうか。
燃えるものを燃やし尽くして、火刑体験者の柱の炎はほとんど消えたようだ。
煙が収まっって見えてきたのは、黒く焼け焦げた、人間の形をかろうじて留めている、炭となった肉の塊であった。
招待客は、ほぼ全員が固唾をのんでステージを見つめていた。全てが終わっても声を出すものはいない。
司会者が、火刑と凌遅処死のどちらが残酷と思ったか、手元のボタンで投票するように促すると、全員我に返ったようにお互いの顔を見合わせてから、それぞれの投票ボタンを押していった。
結果は、・・・・・・火刑と凌遅処死、同数であった。
(PART8に続く)
-
投稿:2014.02.08更新:2022.08.25
古城の中から◆PART7〜戦慄の特別ショー◆
挿絵あり 著者 名誉教授 様 / アクセス 38712 / ♥ 189