初めての方は古城の中から◆PART1〜バブルの果て◆からお読みください
この作品は古城の中から◆PART7〜戦慄の特別ショー◆からの続きです
作品中に登場するAコース・Bコースについては古城の中から◆PART5〜体験コースご案内◆をご覧ください
ステージの特別ショーが終わってからも、最後にお楽しみショーがあった。
今度はステージの向こうの池が舞台である。
ステージからも見えるが、より近くで見物してもらうため、観客には池のまわりに移動してもらう。
このショーは水責というよりは溺殺刑で、体験者は女性2人。石で重しを着けた籠の中に和服姿で入れられている。
いよいよショーがスタートすると、2人の女性を入れた籠は、池の中央に運ばれ、そのまま水中に沈められる。沈められた籠は石の重みで二度と浮き上がらないから、体験と言ってもそのまま水死刑の執行の完了となるのである。
さて、特別ショーが終わって、役員会が始まった。
「役員会を始める。今回の内覧会は大成功だったな。ご苦労であった。」
「全くです。代表の見込みどおりでした。」
「最後の水責と溺死刑も女性の出演で評判でした。」
「そこで、以前行った車輪刑と水責刑を合わせたショーも計画中です。」
「初心者のうちは水深を浅くしますが、慣れてくると被験者の満足を得るためには相当深い水槽で行う必要があります。」
「1人水責でも水槽にどんどん水を注いで水深を深くして最後は溺死するようにもできます。」
「もちろん溺死寸前に水を抜くことも可能です。」
「1人水責のほかに2人同時水責も実験してみました。」
「これはモーターで車輪が高速回転して、徐々にゆっくりになって、最後に止まった位置でどちらかが必ず溺死するという溺死刑を兼ねています。」
「ギャンブル要素も人気が出そうだ。」
「簀巻きでの溺死刑も凄かったです。簀に巻かれた被験者のボランティアが簀巻されたまま積み上げられているのは壮観でしした。」
「被験者には男性も多かったですが、女性はなかなかの美女揃いだったのが良かったです。」
「リゾート施設時代の人工砂浜があんなに役立つとは思いませんでした。」
「水泳の熟達者への簀巻は厳重だったな。」
「本人が処刑希望でも無意識に生存本能が働く場合もあります。泳いで生還されては、様になりませんから、確実に溺死するよう工夫しました。」
「ところで、火刑があんなに注目されるとは思いませんでした。」
「火刑は派手だからな。これからもどんどんやろう。」
「実験で行った女性の火刑も、若干史実とは異なりますが、人気は出ると思います。」
「火刑と車輪刑を合わせたバージョンも用意しました。実験では性器をじっくり焼くと人気が出るようです。」
「女性の生埋めショーも人気でした。」
「ところで、あのショーの出演者が自主的に申し出た志願者だったとは、皆さんちょっと信じられないようでした。」
「特別ショーもそうですが、その前座の絞首刑から全員ど肝を抜かれたみたいですね。」
「特に最後の2人、よく志願してくれた。改めて感謝する。」
「その前の中山博士の講演も良かったです。去勢比較実験を受けた学生まで連れてきて戴いて、盛り上がりました。」
「ステージでの実証実験もなかなかだった。うちのボランティア会員のレベルの高さが分かった。」
「それであの2人の死体はどうした。それなりの敬意を払わんと。」
「あの最後の状態のままプラスチック樹脂で固めて永久的な標本にする作業を進めています。それから火刑は日本館に、凌遅処死は中国館で一般公開を予定してます。ただ、3週間後のグランドオープンには、処刑された死体の標本の展示まではちょっと間に合わないかと。」
話の途中だが、ここで説明を少々。
博物館には多数の刑具が集められているので、当然それを体験してみたいという声が出てくる。
しかし、文化財保護の観点から、さすがにどれでも自由にどうそというわけにはいかない。
そこで、使用可能な状態の刑具の中から、「本日のギロチン」と「本日の鉄の処女」が1台づつ選ばれて、特別展示され、観客はそれを体験することができるようになった。
ギロチンは機械の故障がない限り斬首で確実に死亡するが、もし故障で刃が落下しなかったり途中で止まったりした場合は生存となる。過去に実際に使用された古いギロチンは、滑りが悪かったり、刃がなまっていたりして、生存率がままあるというので、ギャンブル的な面白さが出てきている。
それから振り子タイプなど機械構造が複雑だと生存率が若干上がるようだ。
また、鉄の処女は処刑具タイプと拷問具タイプがあり、構造によって死亡率が様々なので、立看板に死亡率が表記されている。
外見が全く同じ鉄の処女で、内部の棘の長さによって、うまく避ければ棘が刺さらない初心者用、棘が刺さって出血するが死亡しない熟練者用、生存空間が無く実際に処刑される処刑体験用の3種類が並べられ、希望する鉄の処女に入れるというコーナーも作られた。
ここでは、扉の内側を隠して体験者に入る鉄の処女を選ばせ、身体を固定されてから初めてどんな鉄の処女に入れられたか判るという、ギャンブル企画の行うことができる。
また、外から処刑の様子が観察できる自動式鉄の処女も開発された。
これは、体験者を中に入れて扉を閉めてから、ゆっくりと棘を体験者の身体に刺していくので、処刑の一部始終を外から観察することができて、話題となっている。
なお、体験用ギロチンは死亡率が高いほど人気だという。
中には全く同じ形のギロチンが2つ並んでいて、友人と同時に処刑体験を受けることができるものも置かれていて、なかなか人気だとのことだ。
さて、話を戻そう。体験コースの話題だ。
「間に合うかどうかと言えば、体験コースはどうなってる。AコースとBコースはやってみて一部のライドというか乗り物に不都合が出ているし、Cコースは手つかずだぞ。」
「私がAコースの不都合の改善策をまとめましたのでご報告します。」
「うむ。」
「不都合はジベットが可動する部分とそのタイミングに集中しています。そこでまず腕や脚が別々に動くのを止めたいと思います。」
「三角木馬や最後の磔はどうするんだ。」
「ジベットの両脚部分は少し開いていますので、ここから先端が尖った板を差し込み、三角木馬と同じように股間を責めるようにします。上から落とすのも同じです。最後のジベットから壁の十字架への移動は、手足などを拘束している輪の、自動的な受け渡しがイマイチ失敗が多かったので、晒しの方法を磔から別のものに変更します。」
「ふーん。具体的には。」
「全裸の晒しはジベットに入ったまま、エントランスのホールに一定時間吊るすことにします。そして、その後にEiserne_Jungfrau、日本語だと有名な鉄の処女なんですが、それを加えます。体験者は晒しが終わったらジベットに入ったまま、鉄の処女の前に運ばれて行きます。」
「そこは公開か。」
「鉄の処女の中の定位置にジベットが嵌ったら、鉄の処女の扉が閉まります。鉄の処女の棘はジベットの金枠を避けるように配置しますので、普通の鉄の処女体験が味わえます。最後は底の扉が開いて、伝説のように地下にジベットごと落下して終りです。」
「すると、解放は地下室か。見えないところだから短パンもいらないな。面白そうだ。異存なければそれで行こう。」
「Bコースはどうなった。」
「そちらは私からご報告します。ダッキングスツールに座って移動という部分は良いのですが、着用するガミガミ女の口枷と貞操帯が不安定の原因の第一です。とにかく更衣室から出発まで時間がかかります。そこで全身を鉄の枷でがっちりとダッキングスツールに拘束することで、口枷も貞操帯も椅子部分と一体化します。」
「それでは面白みが減りませんか。」
「その代わりGarrotteというのですが、鉄の環で首を絞める装置を付けておいて、途中で鉄環絞首刑体験も味わえるようにします。また、せっかく椅子の上に乗っているわけですから、両手に微弱な電流を流して、Electric-chair、いわゆる電気椅子の疑似体験をする場所も加えました。」
「ほう、これはかえって喜ばれそうだ。」
「第二の問題は、ダッキングスツールを棘のある審問椅子や先が尖ったユダの揺籠の上に降ろすときに、上から吊っている構造上、ピンポイントでの位置決めが困難だったことです。ダッキングスツールをスケスケの金属の枠から厚みのある椅子に変更し、Torture-chair、つまり審問椅子の多数の棘は、椅子が一定の場所まで来ると、座面、背面、肘掛などの内部から突き出できて、肌を刺すようにしました。また、ユダの揺籠の先端を肛門に合わせるのは至難の業でしたので、こちらも椅子の座面に内臓したPear、すなわち苦悶の梨が、直接体験者の肛門に入っていくように改めました。」
「なるほど、それなら失敗がないな。」
「審問椅子の場面では、ダッキングスツールの胸を止める2つのベルトは、女性の場合、乳房圧迫装置になります。また、股間を固定するベルトは、男性の場合はちょうど性器を挟んでいますので、そのまま性器圧迫潰し拷問を行います。」
「最後の見える水槽での水責はそのままか、ハードでいいな。よし、それで行ってくれ。」
「さて、全然白紙だったCコースはまとまったのか。Aコースは立って乗るジベット、Bコースは座って乗るダッキングスツールだったので、Cコースは寝たまま動く乗り物を考えていると聞いたが。」
「今回、かなり注目を集めた身体刑、特に宮刑の体験できるコースを考えています。」
「ほう、宮刑、一般客相手に需要が多いかな。確かにAからCの順にソフトからハードに持っていく構想だったが、いきなりハードル高いな。」
「先日の内覧会で潜在需要は結構あると確信しました。これがアンケート結果です。」
「自分も体験したいと思った拷問、処刑、ほう、意外だな。やはり目の前で見れられると、反応がこうも違うのか。」
「今回の体験コースも博物館を見学してから来る場所ですし、もし特別なイベントの後ならもっと反応はあるかと。」
「じゃあ、説明してくれ。」
「Cコースの乗り物ですが、鉄の処女を仰向けに寝かした形となります。鉄の処女とエジプトのミイラの棺をミックスしたような姿です。乗るときはA、Bコースと同じように全裸です。上の扉は左右に分かれて開くようになっていて、更衣室で仰向けに寝た姿勢で中に入ります。両腕と胴体、両脚の間には仕切りがあって、周囲とそこに付いているベルトで拘束されます。」
「体験者が乗り物の中に寝ると、左右の大きな蓋が閉まります。乗り物は下のレールに沿って動き始めます。そこからはオートメーションの工場のようになります。大きな蓋には小窓があって、それぞれ蓋がされています。この蓋は必要最低限な部分だけ開く仕組みです。」
「すると体験者からは何も見えないわけか。」
「それが恐怖感を増すのに効果的かと。まず入墨刑の体験です。左の腕の部分の小窓が開いて、左腕が上に引上げられます。そこから機械が自動的に腕を一周するように、江戸時代そっくりの入墨の線を2本入れていきます。」
「いきなりハードだな。」
「次は焼印刑です。左腕が元の位置に戻ると蓋が閉まります。今度は乗り物の底の小さな扉が開いて、下から灼熱した焼印が出てきて、体験者の背中に鏝を押し当てます。」
「焼印の文字は。」
「Cコース体験済のCなどを考えています。あるいは去勢者のEUもいいかと。次に臍下から股の部分の扉が開きます。そこで噴射器が脱毛剤を吹き付けます。一度扉をしめて先に進んでまた開けてから、今度はそこを水で洗い流します。これで股間をツルツルのパイパンにします。」
「ほう、それで。」
「次に両脚の蓋も全部開けてから、足首と膝下の拘束具を天井から出ている装置で引っ掛けて、両脚を大股開きにします。臀部も下から少し持ち上げます。足首と膝の位置を工夫して、膝を曲げた状態に持っていきます。ちょうど婦人科の診察台に載ったような感じです。」
「いよいよここからだな。」
「上からマジックハンドの先に穴が開いていて、そこから掃除機のようなチューブが出ている装置が下りて来て、センサーで股間の突起物を探り当てると、穴をそこに持っていってから股間にぴったりと貼り付けて、強力な真空圧で吸引します。これが自動去勢機になるわけです。」
「真空でのペニス切断は、実験でも成功しています。」
「こんなにうまくいくものなのか。」
「あくまで実験なので実用化はまだまだです。」
「麻酔はなしか。」
「中国の宮刑をイメージしているので麻酔はありません。この穴の入口が写真機の絞りのように締り始めます。穴にすっぽりと収まった生殖器の根本部分がだんだん圧迫され、穴の入口がだんだん狭く細くなっていきます。最後に皮膚が切れ始めると、性器全体が少しずつ切断されて行き、最後に切り離され、空気圧で吸い取られます。」
「少しづつ穴が狭まって徐々に切断か。小説の家畜人ヤプーに出てきた去勢鞍みたいだな。あれも麻酔はなかった。」
「でも、多くの被験者は、性器を少しづつ切られて行って、いよいよ切断となる直前には勃起していました。」
「志願して去勢されるのだから当然か。それからどうする。」
「今のところ実験が済んでいるのはここまでですが、構想では、続いて尿道の位置をセンサーで探すコンピュータ制御のマジックハンドが、尿道に栓をします。次に、やはりマジックハンドで動く自動縫合機が、傷口を縫合します。」
「中国の宮刑には縫合はなかったようだが。」
「治癒を早めるためと、このあとの傷の手当を省略するためです。仕上げとして全体に液体絆創膏を吹き付けて乾燥させます。最後に下半身の扉を閉めます。このまま体験者が中に入ったままの乗り物を棚に積み上げます。体験者は2日間そのまま飲まず食わずで傷の痛みに耐えるわけです。」
「容態が急変するとかそういうことはないのか。」
「一応簡単なセンサーは乗り物に仕込んでおきます。48時間経ったら乗り物を棚から引き出して、大きな蓋を開けます。ここでマジックハンドが尿道の栓を抜くと、溜まっていた尿が噴水のように吹き上がります。最後に手足などのロックが解放されるとコース終了です。」
「さっとお聞きしましたが、そこまで自動的に行う装置を作るのはかなり難しいと思いますが、どうでしょう。」
「そのとおりです。あと3週間で全自動式の機械を調整することは難しいので、このCコースは、しばらくは機械の代わりに、かなりスタッフを使って対応します。最初の拘束から入墨、焼印、脱毛、宮刑、縫合までスタッフが直接行います。脱毛も剃刀の剃毛、去勢も最初は刃物でバッサリですね。まあ、AコースBコースに比べれば、体験者はぐっと少ないと思われますので、十分回ると考えています。」
「今後はどうするおつもりですか。」
「まず、手動で操作するマジックハンドを入れて行きたいと考えてます。自動去勢器は目玉ですので、最優先で導入します。次に身体の位置などを正確に感知するセンサーの開発、最後にそのマジックハンドなどの手動操作を、コンピュータの自動操作に切り替えます。」
「全自動の完成までどのぐらいかかる。」
「費用を惜しまなければ2年ぐらいかと思います。」
「よし、やってくれ。ただ、それまでの繋ぎに何か売りが欲しいな。」
「実証実験で人気があった鼻削や脚切はどうでしょう。」
「よし、それを希望者にオプションで入れよう。さっきの乗り物の大きな蓋に、鼻削用に顔の部分だけ開く小蓋と、膝蓋骨を切り取るために膝だけ開く小蓋を作る必要があるな。スタッフが刃物で切るなら、覗き蓋があれば十分だろう。」
「実はそのような応用例もあろうかと、その部分には蓋を付けてあります。」
「なんと手回しがいい。それじゃ進めてくれ。」
こうして話は決まったようである。
(PART9に続く)
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投稿:2014.02.11更新:2024.05.30
古城の中から◆PART8〜驚異の新体験コース誕生◆
挿絵あり 著者 名誉教授 様 / アクセス 41538 / ♥ 230