鳳桜大学編は、更新を重ねるうちに思わぬ長さと画像数になってしまいましたので、ストーリーを新たに3分割にしました。
今回は司法試験受験の学生寮のうち、睾丸摘出による去勢を推奨している泰法会と泰法寮の話です。
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前作「それからの学寮(Part3-鳳桜大学保健センター編」はこちら
最初の作品「学寮(Part1〜5)」はこちら
鳳桜大学は明治時代の法律学校からの歴史がある法学部が有名。毎年の司法試験ではトップレベルの成績を誇る。
学内には30以上の法職受験団体と呼ばれる司法試験受験対策の勉強会があり、その多くは半世紀あるいはそれ以上の歴史を持っている。
勉強会の運営は大学は場所を提供するだけで、経費のほとんどはOBの寄付で賄われている。
専用のゼミ室だけあるところが約10団体、ゼミ室のほかに個人専用の机がある学習室も持つところが約10団体、学外に寮を持ち会員全員が入寮するところが約10団体である。
戦前からの歴史を持つ5団体は特に有名で、その中の「泰法会」は全寮制の勉強会で、神田の法学部キャンパスからは離れた市原市内に寮がある。
「泰法会」を有名にしているのは、合格率の高さだけではなく、会員全員が去勢するという制度である。
保健センター編でご紹介したように、大学当局も勉学のための去勢を奨励しているため、会員全員が去勢する勉強会は「清明会」や「翔法会」など他にもあるが、全員入寮で去勢者だけで構成される泰法会の学生寮は、やはり一見の価値がある。
そこで、その寮の様子からご紹介しよう。
大抵の司法試験受験団体は、6月頃に新1~2年生を対象に入会試験するので、泰法会でも1年生当初からの入寮者は少数派。
定員は1学年10~20人で、小人数のように見えるが、在学中の司法試験合格は少ないので、既に卒業した会員も残っていて、実際には常時100人前後が在寮している。
生活の場はおもに自習室と寝室。それから食堂、トイレ、浴場ぐらいであろうか。
それらの空間はすべてプライバシーがない開放空間となっており、寮生が相互に監視して勉学に励むようにという趣旨であるとのことだ。
泰法会は、最初から去勢学生だけの団体だったわけではなく、司法試験が難関化していった1960年代から、勉強の邪魔になる淫欲を絶つために、会員の中で睾丸だけを抜く去勢手術を受ける学生が出始めた。
この去勢が合格率上昇に与えた効果は抜群で、1970年になると去勢は任意であったにも関わらず、会員全員が去勢者になり、1975年からは入会時に全員が去勢することになった。
去勢が入会条件という、当時としては非常にラジカルな内容にも関わらず、志願者は10倍以上あり、会員になるだけでも大変であった。
寮生もまた自分たちのことを「淫欲を断った宦官学生」と堂々と自称し、去勢を誇りに感じていた。そして睾丸剔出だけど良いのか、陰茎も切断して完全去勢した方がいいのか、大論争になった時期もあるという。
その頃は、完全去勢した寮生はそれを自慢して、あえて陰毛を剃って股間に何もないことを見せびらかすようなこともあったらしい。
この頃になると大学も学生の去勢の効果に注目して、無料手術などの支援を開始し、勉強会に所属しない学生の中にも、去勢する者が増加し始めていた。
下の記録写真は、大学の保健センターで去勢した学生の術後の様子だが、3年生になってから去勢したり、政経学部の学生が去勢したりしているのが分かる。
もちろん、泰法会や清朋会の入会試験合格者も、この無料去勢手術を利用ようになった。
その頃の寮生の股間部は、こんな感じで、陰茎まで取り除いた学生は少なく、多くは睾丸のみ摘出していた。
睾丸を摘出する際に、陰嚢を一緒に切除するかも任意であったが、学生の去勢手術希望者が多い繁忙期は睾丸剔出のみで対応せざるを得ないが、陰嚢の余分な皮膚が邪魔という声も多かった。
そこで現在は、夏休み前の去勢希望者の集中時期以外は、概ね陰嚢も切除するのが普通になってきていた。泰法会の学生は夏休みを待たずにもっと早く去勢するので、今では全員が陰嚢の除去まで行っている。
ご覧のように、2つの睾丸の他に、陰嚢の皮膚も綺麗に取り除いて縫合されており、手術で除去された部位を見ると、陰嚢の皮膚の余分が結構多いのが良く分かる。
ところが、2004年に法科大学院ができ、2006年から新司法試験が始まったため、難関の司法試験の競争も緩和されるかと思われ、一旦は泰法会も去勢は任意と変更したものの、同じ寮内に去勢者と完全な男性が混在する混乱も生じました。
新司法試験も法科大学院経由より予備試験経由が主流となったこともあって、2009年に泰法会は全員去勢制を復活した。
このとき、去勢していなかった在寮生も一斉に去勢手術を受けたが、2006年に2年生で入寮した学生で2008年に既に卒業していた寮生3人は、最後まで去勢せずに寮を後にしている。
なお、今の入寮条件は左右の睾丸剔出だけではあるが、中には陰茎切断した寮生もいろ。
かっての論争は影を潜めて、睾丸去勢のみの学生も完全去勢した学生も、和気あいあいと共同生活を送っているいようだ。
今度は、泰法会の寮内の生活を見てみよう。
陰茎を切除すると当然小用は大便器でしゃがんで行うことになる。
睾丸摘出より完全去勢を選択する寮生が増えてくると、今度は大便器の不足という問題が発生した。
そこで、他の大学の去勢学生の寮でも見られるように、小用での時間節約のため、トイレは大便器にも仕切りや扉がない構造に改められ、睾丸摘出のみの学生も、大便のときはこの扉も仕切りもないトイレを使うことになった。
完全去勢の寮生の姿が中国の宦官に似ているからというわけではないのだが、中国式のニイハオトイレと同様の形態に落ち着いたわけである。
ただし、和式便器の場合、昔は中国のニイハオトイレと同じように、通路の側に顔を向けていたが、用便のたびに身体の向きを変えるのが面倒ということもあって、やがて逆向きにお尻を通路に向けるようになった。
この頃に建設された、和洋混合の大共同トイレのスケッチである。
カメラでは撮影できない壁面からの広角で描かれているので、全体の様子がよくわかるが、柱がない広い空間が全部トイレなのは、圧巻である。
このラフスケッチで分かるように、お尻を通路に向けて用便をする場合は、小用でもお尻は丸見えになるが、股間部を晒すよりは恥ずかしくないとの意見が多かったようである。
確かに洋式便器でもお尻の一部は見えるし、壁向き和式便器では見えない前陰部も見えてしまう。
洋式便器だとこんな感じとなる。
ただし近年は洋式便器の人気が高くなっている一方、トイレの使用は朝に集中するため、立小便器を座り便器に更新しても、一定数の便器は確保しなければならず、結果としてかなり窮屈な配置となってしまっている。
寮生の増加による窮屈な配置は、シャワー室などでも同じではある。
寮生により、陰茎まで切断していたり、睾丸切除だけに留めていたりしたいるが、寮内では、完全去勢の学生の方が上に見られている。
このため、睾丸摘出だけの寮生の中には、陰茎切断の追加手術を受ける者が少なからず出て、2回の手術は大変なので、新寮生に最初から完全去勢を勧める先輩も多くいたようである。
話を泰法会の歴史に戻すと、2009年に3年生以上の寮生が、一斉に去勢したところ、やがて「睾丸を摘出しただけでは淫欲が絶てない」とか、「オナニーがむしろ気持ち良くなった」という声が出はじめた。
人間の性欲はホルモンだけではなく、脳の中の経験からも来るので、ある意味当然のことかもしれない。
これまでは、大学受験の猛勉強が終わってから1年ぐらいで去勢していたので、あまり言われてこなかったことが、一斉去勢で問題化したわけである。
このことは、睾丸去勢派と任意選択去勢派に対して、完全去勢派が対立するという、泰法会を二分する大問題となったが、睾丸抜きだけの去勢だった学生も、結局陰茎全切除を申し出ることも多くなってきた。
翌年には寮生が陰茎存置を特に希望しない限り、入寮当初から陰茎も全切除するようになった。
この効果が絶大であっただけではなく、2度の手術は大変ということもあり、入寮時の完全去勢が好ましいという意見が増えていき、やがて新しい学生寮が分離独立することになるのであった。
最後に完全去勢学生で泰法寮に最後まで残った寮生の股間をご覧いただく。
この寮生は、術後の尿道口がやや大きかったので、しゃがんで小用をするときにかなり不便を感じたということだ。
次作「それからの学寮(Part5-鳳桜大学浄心学生寮編)」はこちら
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投稿:2022.05.30更新:2023.12.01
それからの学寮(Part4-鳳桜大学泰法寮編)
挿絵あり 著者 名誉教授 様 / アクセス 47961 / ♥ 452