「序」
「実はお父さんの仕事の関係で、突然だけど来週引っ越すことになって・・・。幼い頃から一緒に遊んでくれた須藤君には、そのこと一番最初に伝えたくて・・・。ゴメンネ。さよなら、今までどうもありがとう。」
「!!!」
それは、あまりにも突然の幼馴染の岸本さんからの「報告」で、心の片隅で片思いをしていた岸本さんに、本当の気持ちを「告白」できないまま訪れた初めての「失恋」であった。
第1章「活発な男の子として」
オレは須藤シンヤ。自分で言うのもなんだけど、学校ではクラスの男子のリーダー的存在で運動が得意。女子にもよくチョッカイも出す。いわゆる「活発な男の子」だった。
ブルマ検査を来週に控えた日曜日、オレは少年野球チームの友人、コウジ、トシカズを含めた友人たちと公園で遊んでいた。
「なあ、俺たちも来週最後のブルマ検査だけど、みんな自信がある?」
「・・・。」
みんなブルマ検査の話はしないようにしていた。しかし、一人が禁断の口火を切ってしまったことでその場に重い空気が流れた。
「うるせえよ。そんなに不安ならブルマ宣告される前に自分で切って女になっちまえよ。」
「そんなこと言ったって・・・。」
「だったら、今すぐみんなでチンポの見せっこするか。みんな出せよ。」
「・・・・シンヤ君は怖くないのかよ。」
「うるせえ。オレは自信があるからいいんだよ。さっさとチンポ出せよ。」
みんなはオレの剣幕に負けてしぶしぶオチンチンを出した。
「ほーれ、オレが一番デカイじゃんか。もし、オレがブルマになったら、おまえらみんなブルマだぞ。ブルマの心配するんなら、どっかよそに行ってやってこい。」
オレの一声にみんな自分のオチンチンを見つめて黙ってしまった。
実際、オレだって本当は怖い。しかし、活発な男の子というイメージがみんなに定着している以上、弱みを見せるわけにはいかない。無理にうそぶいて自信をみせた。
翌週の金曜日、心に不安を抱えたまま、オレ達はブルマ検査を迎えることになった。
第2章「ブルマ検査の日」
ブルマ検査の時間になると、オレたち男は体育館に集められた。6年生のブルマ検査は事実上、最後のブルマ検査なので他の学年とは別の日に、それもかなり念入りに執り行われる。
「これより6年生男子のブルマ検査をはじめます。」
検査を担当の女医オレたち全員の前に立って、そう宣言してもほとんどざわめきは起こらなかった。
「これからクラスごとに保健室に移動して、ブルマ検査を受けてもらいます。もし、ブルマを宣告されてしまったら施術まで所定の教室で待ってもらいます。その間に施術担当の先生たちと体育館を施術場に変えますから、そのあとブルマになってもらいます。それと、自らすすんでブルマになりたい男の子はいますか。いたら挙手してください。志願者はすべてのブルマ検査のあと、私が保健室で直接施術しますが・・・、どうですか。」
周りを見渡しても、誰一人挙手する者はいなかった。
「わかりました。いませんね。では皆さん普通に検査を受けてもらいます。」
オレたち7組は一番最後。先に保健室に移動していくやつらは皆、うつむいて口を一文字に閉じていた。今日で男でいられるか、卒業させられてしまうかが決まるのだから無理もない。かくいうオレだって不安で仕方がない・・・。
「7組保健室へ移動しなさい。」
ついにオレたちの番だ。しかも7組ではオレが一番最後になった。
次々にオレより前のやつらが保健室の中に消えていく。不合格者は当然、さっきの体育館で「即、施術。」となるわけだが、合格者はそのまま帰宅となる。それに、待っているオレたちを考慮してか合格、不合格ともに保健室の別の出口から出されるため、誰が不合格だったかは土日をはさんだ三日後の月曜日までわからない・・・。しかし、検査を待っている時の押しつぶされそうな不安はハンパない。
「須藤君、入ってください。」
いよいよオレの番だ。オレは不安に押し潰れそうになったまま、検査を受けることになった。
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「残念だけど、不合格ね。」
女医の言葉はあまりにも唐突で冷淡だった。
「そんな、オレが不合格だなんて・・・。そんなの嘘だろ。」
「信じられない気持ちはよくわかるけど、あなたは『通常状態検査』、『放尿検査』は合格だったの。でも、『膨張率』が規定値以下だったわ。」
「お願いだ、もう一度測ってくれよ。」
「いいわよ。じゃあ、思いっきり勃起させてみなさい。」
すると、女医はオレのオチンチンにノギスのような器具を再びあてがった。
「んー、惜しい!あと1ミリ、あと1ミリなんだけどな。」
オレは渾身の力でオチンチンを勃起させた。
「残念だけど、あきらめてちょうだい。」
「お願いだ、1ミリぐらい大目にみてくれよ。」
「気持ちはわかるけど、検査は検査なのよ。わかってちょうだい。」
「オレ、女になること考えたこともなかったんだよ。それに、ガキ大将がブルマになったんじゃ、みんなに顔向けできない・・・。」
もうプライドも何もかも捨てて、とにかく女医に懇願した。
「確かにあなたは、クラスの中でもリーダー的な存在みたいね。さっき検査を受けた子達も、『ブルマになったらあなたにバカにされる』なんて言っていたわよ。」
(そうか、アイツらもブルマを宣告されたんだな・・・。)
「それに、少年野球でもレギュラーなんだよ。オチンチン切られたら野球だって続けられなくなっちゃう。」
「ブルマを宣告された子達も、男の子でいられなくなることに、みんなあなたみたいなこと言っていたわよ。でもね、いったん出てしまった結論は覆すことはできないの。」
「そんなぁ・・・。」
「そうねぇ。あなたみたいな特に活発な男の子がブルマ検査でブルマになりました・・・じゃ、ちょっとかわいそうだもんね。」
「・・・・・。」
「そうだ。じゃあ、自分からブルマを志願したことにすればいいのよ。」
「自分から・・・?」
「どっちみちブルマになるのなら、『自らブルマを志願しました。』ってことにすればいいのよ。」
「・・・・。」
「本当ならあなたも不合格のほかの子達と一緒に、体育館につくられた施術場でこれからオチンチンを切られてしまうんだけど、志願者はこのまま保健室でとりおこなうわ。そうすればブルマになっても、『不合格だった』ことはバレないわよ。特別にどちらで施術をするかあなたには選ばせてあげる。どうするの?」
オレは思いがけない言葉に、心は揺れ動いた。このままみんなと一緒に体育館で施術をされれば、オレのオチンチンが不合格だったことはバレバレになる。
それに、コウジやトシカズも今ごろはブルマになっているはずだ。オレだけ男で残ったというのも胸クソ悪い・・・。ならばいっそ、気が変わったとかの理由をつけて、潔く男を捨てたということにすれば男としての面子が立つ・・・。どちらにせよ、男はここで捨てなければならないんだ・・・。
しばらくの沈黙が流れた。
「どうするの?」
再び女医はオレに問いかけてきた。
「志願します。志願でブルマにしてください。」
「そう、わかったわ。志願するのね。」
第3章「ブルマへの道」
すべてのブルマ検査が終わって保健室に残ったブルマ志願者はオレだけだった。あとの不合格となった子達は、施術場になっている体育館に連れてかれた。
「さて、須藤シンヤ君は自らブルマを志願しました。後悔はないですね。」
(後悔があっても、みんなと一緒に不合格として切られるのはごめんだ・・・。)
「これより、志願者である須藤シンヤ君のブルマ施術を行います。まず、このプリントに須藤君の名前を書いてください。」
渡されたプリントには「私は自分からブルマになることに同意します。」ということが書かれていた。当然拒否できる立場にないオレはすぐに名前を書いた。
「須藤くんは決意が固いのね。このプリントを提出した時点でもうオチンチンを卒業しました。もう後戻りはできません。ですから、早速施術を開始いたします。」
そのときだった。保健室のある校舎の隣の体育館から、何人もの男の子の泣き声が聞こえてきた。
「あらあら、かわいそうに。無理もないわ。今日でいきなり男の子を廃業させられてしまうんだから。この泣き声は男の子としての断末魔ね。」
何のためらいもなく言う女医と、幾重にも重なる泣き声にさすがのオレも怖くなってきた。
「さて、始めましょう。早速短パン、パンツを脱いで。」
言われるがまま脱ぐと、女医さんはオレのオチンチンを入念に消毒しだした。
脱脂綿に染みこんだ消毒液のせいでオチンチンとタマタマがスースーする。くすぐったい上に、女医さんにオチンチンを摘まれる恥ずかしさから、いつの間にかオレはへっぴり腰になっていた。
「ほら、もっとオチンチンを突き出して。しっかりと消毒できないじゃないの。」
「もうお遊びはこれまでよ。これからが本番よ。麻酔を注射するからさっき以上にオチンチンを突き出して。」
そう言って、太い注射器を持ってきた。
オレは、看護婦さんに後ろから「膝カックン」をされたような姿勢で腰を突き出され、オチンチンに麻酔が注射された。
「これから本当に本番になるけど、あなたは志願者だから強制されて切られるんじゃないのよ。そこだけはよくわかっておいてね。」
もう何を言われてももう恐怖でいっぱいだった。できればここから逃げたい気持ちでいっぱだ。
「じゃあ気持ちを切り替えてはじめるわよ。私が『これから始めます』と言ったら『お願いします。』ね。」
「これから始めます。」
「・・・・・。」
恐怖のあまり声が出なかった。
「これから始めます!!」
「お、お願いします・・・。」
「では、須藤君手を出して。」
(・・・?)
恐る恐る手を出してみると、各々に渡されたものは鋭利なハサミだった。
「なにを考え込んでいるの?もうわかるでしょ。自分でオチンチンをチョッキンとやっちゃいなさい。」
「ええっ!」
「だって、あなたは志願者なんだから、強制的に切ることはしないの。でも、もうブルマになることは同意しているんだから、自分の手でオチンチンをチョッキンしなさい。」
あまりの出来事に呆然となった。
「何いつまでも突っ立っているの。ブルマになりたいんでしょ。ほら、片手でオチンチンの先をしっかり摘んで引っ張って・・・。いい、できた。じゃあオチンチンのつけ根に開いたハサミを通して。」
「ほらへっぴり腰だとしっかりと切れないわよ。ちゃんと腰を突き出すの。 ハサミを通したらさっさとチョッキンしちゃって。」
キラリと光るハサミの刃のあいだに通されたオチンチンが目に入ると、手が震えて、そのままの姿勢で硬直してしまった。
「もう麻酔はしてあるんだから、痛くないはずよ。さあ、準備はできたんだから、いつまでもオチンチン摘んでないでチョッキンしましょうね♪」
女医の不敵な笑みが恐怖を倍増させる・・・。
「ちゃんとオチンチンを見て。しっかりと見てやらないと指を切ったりするわよ。それに、ちゃんと根元から切らないと、切り株をもう一度切らなきゃならなくなるわよ。」
恐怖のあまり、手からハサミを落としてしまった。
「全くだらしがない子ね。私がやってあげる。」
そう言って、女医がカバンから取り出したのはロウソクと小さな靴べらのようなものでした。
(?)
「原始的な方法だけど、ハサミが怖いんじゃ仕方がないわね。この竹のヘラのナイフをローソクの火であぶって、ギコギコと時間をかけて切るしかないわね。」
女医は手際よくロウソクの火でヘラをあぶるとオレに近寄ってきた。
「準備ができたわよ。さあ、オチンチンを出して。」
いくらブルマになるからといって、そんなもので切られるなんてたまったものではない。オレは両手で股間を押さえて激しく抵抗した。
「さあ、その手をどかしなさい!」
もう恐怖のあまり泣くことしかできなかった。
「全く、志願者にしてあげたのに仕方がない子ね。じゃあ、わかったわ。ちゃんとオチンチンが切れるように私がおまじないをしてあげる。」
「おまじない!?」
「そうよ、こうするの。」
さっきとは打って変わって、ヘラを置くと女医はやさしくオレのオチンチンに小指を絡めてきた。
「じゃあいくわよ。♪チン切りげんまん 嘘ついたら針千本 飲〜ます。チン切った!♪」
「あー!!」
その瞬間、女医の小指に絡んでいたオチンチンが、鈍い音とともにオレの股間から切り離れた。
「今頃気がついたようね。いつまでもオチンチンを切らないから、おまじないのとき指にかみそりの刃を持っていたの。」
「そ。そんな・・・。痛い、痛いよう。」
次第に股間からじわじわと痛みがこみ上げてきた。
「あらあら、麻酔のききめが切れてきたようね。じゃ、ちょっと寝ていてちょうだい。」
無理やり女医と看護婦さんにベッドに寝かされると、ホースの付いたマスクを付けられ、そのまま意識が遠くなっていきました。
第4章「目覚めて」
目覚めると、さっきと同じ保健室だった。
「あら、お目覚め。どう、ブルマに生まれ変わった感想は。」
その言葉にオレは無意識に股間に手を伸ばしていた。
(ない、やっぱりない。)
「オチンチンがなくなってショックな気持ちはよくわかるけど、早く気持ちを切り替えるのよ。」
男ではなくなったことに、それに野球ができなくなったことに大粒の涙が溢れてきた。
「それとこれは返しておくわ。」
そう言って女医が持ってきたものはガラスケースに入ったオレのオチンチンとタマタマだった。
「普通のブルマの子のオチンチンは施術後に処分されてしまうけど、志願者のオチンチンは防腐処理がされて持ち主に戻されるの。こうすれば私は不合格ではありません、志願者です。という証拠にもなるしね。」
「あと、あなたのお友達のコウジ君とトシカズ君だけどね。彼らは合格だったわよ。」
「ええっ!!」
「確かにオチンチンもタマタマもあなたより小さかったけど、規定値以内だし、彼らのオチンチンは勃起すると膨張率がすごかったのよ。」
あいつらもブルマになったと思ったのはおれの思い過ごしだった。悔しさで涙が溢れてきた。
「じゃあ、オレだけ・・・。あいつらが男でオレが女だなんて・・・・。」
「残念だけどこれも結論よ。」
信じられない現実を聞かされ、だんだん悔しさが怒りに変わっていった。
「オレだけ女なんて卑怯だぞ。あいつらが男でいるならオレを男に戻せよ。」
「逆恨みされる筋合いわないわ。あきらめなさい。」
「ふざけるな。あの二人が男でいるのなら、オレだってこれからも男だからな。」
「もうオチンチンはないのよ。」
「オチンチン、オチンチンってオチンチンぐらい根性でまた生やしてやる。絶対こんな結果認めないからな。おまえたちが何て言ったって男でいるんだ!」
「男でいられるんだったらいてみなさい。オチンチンももうないし、そのうち胸も出てきて、そんなこと言っていられなくなるから。それにあなたの検査に施術はもう終わりました。さっさと帰りなさい。」
思いっきりオレだけブルマにされてしまった怒りをぶつけたつもりだったが、全く相手にされず、女医と看護婦さんに保健室の外に連れ出されてしまった。
検査を終えたほかの子達がすでに帰宅したさびしい校舎で、一人でただ泣くことしかオレにはできなかった。
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投稿:2012.11.14更新:2013.01.01
非常なる運命 前編 「ブルマへの道」
著者 やかん 様 / アクセス 15967 / ♥ 4