初めての方は古城の中から◆PART1〜バブルの果て◆からお読みください
この作品は古城の中から◆PART3〜ボランティア群像◆からの続きです
「皆様、遠いところをようこそお越しくださいました。日頃から、NPO法人和洋史学講習所をご支援いただき、ありがとうございます。この場を借りて厚く御礼申し上げます。本日は、『Hellish Castle(ヘリシュキャスル)』のグランドオープンに先立ちまして、関係者の皆様にゆったりとお楽しみいただこうと、内覧会を企画させていただきましたところ、このように多くのご参加をいただき、まことに光栄の極みであります。」
「拍手」
「後ほど、講演会と完成記念パーティのご用意していりますが、まずは館内をご覧いただきたいと思います。10人様程度のグループ毎に職員がご案内させていただきますので、順番におまわりください。ご質問がございましたら何なりとスタッフにお尋ねください。ご意見ご要望も承りますのでお気軽にお声かけ願います。それではごゆっくり。のちほどパーティ会場でお目にかかりましょう。」
「第一グループの皆様、お揃いでしょうか。ただ今からヘリシュキャスルにご案内いたします。」
「おや、君の・・・・その・・・股のところはどうしたの。」
「私は、元々中国館の担当ですので、ご覧のように宮刑を受けて宦官になりました。むしろ、宮刑を受けたくて中国館を志望したようなものです。」
「その服装は、普通の中国服ではないようだが。」
「宦官の普段着です。ちょっと改造して股間部をいつもお見せするように作られています。」
「それはそれは、サービス満点だ。」
「ではご案内します。」
「ヘリシュキャスルとはどういう意味かね。」
「英語で『地獄の城』といった意味です。中はまさに地獄さながらの光景がご覧いただけます。最初は『恐怖の城』ということで、キャスル・オブ・フェアルにする予定でしたが語呂が悪いので変更しました。まずは展示館です。」
「パフォーマンスを担当するボランティアには裸の者もおりますので、やや高めの温度設定となっております。真冬でもお客様は薄着で十分なはずです。」
「そのボランティアは何人ぐらいいるの。」
「ボランティア登録者は300人以上ですが、毎日いるわけではありません。今日は特別に半分以上が集まっています。」
「泊まるところは大丈夫だったの。」
「ホテルの部屋は内覧会にお越しのお客様に割り当てましたので、パフォーマーたちは溢れてしまって、博物館の展示品の城郭の地下室とかナチスの収容所のベッドとか江戸時代の牢の中まで使いました。」
「それは何か申し訳けなかったね。」
「いえいえ、連中は趣味人ですから、ごろ寝もすし詰めも3段ベッドと平気ですから。そうそう中には、中国の清代の首枷で固定されるた囚人用ベッドとか、床に水が張られた水牢とかで寝た強者もおりました。」
「ほう、見てみたいねえ。」
「のちほどご案内できると思います。さあ、ここが西洋館の入口です。扉を開けます。」
「おお、中は凄いな。ヨーロッパ中世の拷問室そのままだ。」
「中は展示コーナーと体験コーナーに分かれています。展示コーナーも刑具の展示だけではなくて、ボランティアが実際に使用して見せたりしています。」
「西洋館が終わりましたら日本館へどうぞ。」
「日本館も本格的だ。まるで火付盗賊改か小伝馬町牢屋敷か。」
「これは江戸時代の駿河問の拷問だな。でも吊られている青年は陰茎を切断されて、それを口に咥えさせられているじゃないか。」
「史実を超越して脚色で膨らませている部分もあります。」
「石抱きの伊豆石も本物だ。こんなに重ねて大丈夫なのか。」
「ボランティアはお客様に見てもらうために訓練を積んでますから。それより、本格オープンで誰でも体験となったときにどうなるかです。」
「緊縛体験ぐらいなら気楽に参加者が集まると思うのですがねえ。」
「野外で全裸となると、季節によっては案外厳しいかも。」
「恥ずかしいかどうかより、暑さ寒さが問題ですね。」
「いやあ、西洋館も日本館も中国館も素晴らしかったよ。」
「西洋磔では実際に両手両足を釘打ちして見せてくれるとは思わなかった。」
「ギロチンも、もし刃が落ちてきたらと思ってひやひやした。」
「電気椅子は実際に電流を流された囚人が思わず失禁してたね。」
「鞭打ちは出血しても次から次へと鞭が振り下ろされて実に凄かった。」
「棘が出ている審問椅子は長く腰掛けていて大丈夫なんだろうか。素っ裸だからトリックはないだろうし。」
「水責椅子もあったな。」
「あの身体を締め付ける鉄枷、コウノトリは意外に苦しそうだった。」
「口枷や貞操帯の種類の多さにびっくり。」
「西洋館のあの女性、膣に苦悶の梨を入れていてビックリした。その両隣の男性は口と肛門に入れていて対比が面白かった。」
「鉄の処女は迫力あったねえ。しかも実際に扉を閉めたからびっくりした。」
「お気に召していただけましたでしょうか。鉄の処女は棘が実際に皮膚に突き刺さるので、オープン後は1回毎にボランティアが交代する予定です。1日何回できるかはボランティアが何人集まるかによります。日本館はどうでしたか。」
「日本館の石抱き拷問は本当に痛そうだった。それでもまだ石を載せるからびっくりした。」
「百叩きは本気でやっていたな。」
「駿河問や逆さ吊での水責めもハードだった。」
「火焙りの直前は身体隠しちゃうのがイマイチかなあ。」
「西洋館の全裸オンパレードと違って、男性が褌で女性は白襦袢が基本というのも色気があった。まあ、三角木馬みたいな股間部への責めは局部露出の方がいいが。」
「磔柱にちゃんと男女がそれぞれ縛られていたのが良かったよ。」
「やっぱり三角木馬かなあ。こっちには女性がいなかったのが残念だったが。」
「そうなんです。女性パフォーマーの数は、まだまだ少なくてすいません。」
「中国館はいかがでしたでしょうか。」
「リアル宦官の案内人が4人いたのには驚いた。しかも下腹部丸出しの制服が面白かった。」
「あれを、去勢されてない案内人が着けたら、締まらないだろうね。」
「枷を着けられた囚人が多かったね。あれは西洋のものかと思っていたから意外だった。」
「腰斬刑用の押切は初めて見た。ギロチンより怖かった。」
「寝るときはあの狭苦しい寝台に詰め込まれていたのか。ありゃナチの収容所以上だ。」
「站籠というのかな。立檻が5つあったね。みんな背伸びをしていて苦しそうで実感が良く出ていた。」
「3人が凌遅処死用の柱に縛られていたな。あれは全裸で処刑されるんだ。」
「釜茹刑も全裸だったし。」
「寶貝房とか言ったかな。宮刑で取られた一物を瓶に入れて吊るしておく部屋だけど。まだまだ空瓶が多かったのが、残念といえば残念。」
「史実とは違うらしいが、現代の寶貝房での切断した男根、宝(パオ)とか行ったかな、の展示は透明の瓶入だったのが良かった。」
「中身があった瓶のうちの4本は、あの案内人のものだろうね。」
「どうだろう、中国館の囚人は全員、あの案内人のように、宮刑を受けさせて、宦官にしちゃうわけにはいかないか。」
「それはいい。宮刑の実演と一石二鳥だね。」
「いやいや、その後に宦官になった囚人の拷問や処刑が見れるから一石三鳥だ。」
「中国館は素っ裸が結構いたからねえ。中国の処刑は全裸で行うことが多かったのかな。それにしてもリアル宦官は目立つねえ。」
「中国館以外で、例えばペニスギロチンなどで切断した男根も寶貝房に飾るべきですな。」
「寶貝房の男根を入れる容器も陶器じゃなくてガラスにして、中が見えるようにしましょう。」
「賛成〜!そうしましょう!」
「ありがとうございました。皆様のご意見は、しっかり伝えさせていただきます。ここで一旦解散させていただきます。それから今日はまだ未完成ですが、体験コースの見学も一部できるようにしてあります。ご関心がお有りでしたらそちらもご覧ください。お時間までにはは講演会会場へお越しくださいますようお願いいたします。」
(PART5に続く)
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投稿:2014.01.31更新:2023.08.15
古城の中から◆PART4〜内覧会スタート◆
挿絵あり 著者 名誉教授 様 / アクセス 37642 / ♥ 156